戦前の大金持ち

戦前の大金持ち

2021年7月24日

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「戦前の大金持ち」出口治明 小学館新書

 

孫文を支え、辛亥革命を資金面で支えた梅屋庄吉、パリの放蕩王の薩摩治郎八、死の商人と呼ばれた武器商の大倉喜八郎、吉野の山林王と呼ばれた戸倉庄三郎、相場の神様で、山種美術館を作った山崎種二、世界の真珠王の御木本幸吉、庭園日本一の足立美術館を作った足立全康。六人の戦前の桁外れの大金持ちが取り上げられている。
 
筆者の名前は出口治明さんなんだけど、実際には先にそれぞれの評伝が稲泉連、山川徹によって書かれて、その後に出口氏の解説が載せられている。評伝の筆者は表紙には一切、名前が載っていない。なぜ?文章のボリュームは結構あるんだけどねえ。そして、「評伝」で書かれたことが、「解説」でもう一度繰り返されたりして、本の作りとしてはどうなの?と思う。解説は、いわば校長先生の朝礼の訓示みたい。うーむ。何を目的とした本なんだろう。
 
戦前のものすごーいお金落ちがどんなだったのか知ってみたいと思って読んだのだけど、説教されたみたいでつまらん、と思ってしまった。御木本幸吉さんと薩摩治郎八さんは割に知っていたけど、その他の人はあまり知らなかったので、勉強にはなったかな。山種美術館は好きなので、よくぞ作ってくれました、とは思いました。

2018/9/25