本売る日々

本売る日々

130 青山文平 文芸春秋

夫からのおすすめ。時代物の短編が三つ入っていて、ひとつ目を読み終えた頃に「面白いね」と言ったら「でも、最後のがいちばんよかったんだよ」と言われた。読み進めたら、本当に最後の一編が心にしみた。良かった。

江戸時代の本屋の話。地方の名主や藩校などに行商に行く商売。もともと紙屋だったのだけれど、本屋に転身した男。そこで出会った得意先の話や、弟の娘話など。医書を売りたいという夢があるのだけれど、それにかかわる医師の話がとても良い。本とは何か、何のためにあるのか、医師とはどんな存在か、学問とはどういうものなのか。そんなことを考える一冊。これはお勧めだよ。

青山文平という人を知らなかった。なんと直木賞受賞者だったのね。どうも賞受賞者に腰が引ける質なので、よろしくないね。嫌がらずに読んでみようと思った。