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「橋はかかる」村崎太郎＋栗原美和子 ポプラ社
「反省猿」で有名な猿回しの村崎太郎さんと、フジテレビプロデューサーだった奥さんによる共著。「太郎が恋をする頃までには・・・」への日記のコメントで、おはなしでてこいさんがこの本を教えてくれました。ありがとうございます。
村崎太郎氏が部落出身であることをカミングアウトした「太郎が恋をする頃までには・・」の出版が、彼の兄弟の反感を呼び、おかあさんまで離れていったとは知らなかった。それほどまでに、部落問題は根深いものなのだ。結婚した栗原さんのご両親とも、一度は決別したという。しかし、彼らは努力し、双方の親たちと和解していったという。
この本も、彼らの努力の一つだ。諦めずに進んでいく、と彼らはいう。それは、ほんとうにたいへんなことだと思う。
時代が底をつき、人びとが不安になっているいま、誰かを差別することで自分を安心させるような空気がある、と私は感じる。以前よりも、マイノリティに対するあからさまな差別を声高にいうひとが増えていると思う。何かを誰かのせいにして、誰かを貶めると、自分が安全な場所にいるような錯覚に陥るのかもしれない。
と、他人事のようにいう私の中にも、そういうものはないのか？私は、だれに対しても、対等に尊重し、敬意を払っているのか？
思わず振り返ってみたくなる、そんな力がこの本にはあったのだと思う。
2011/10/15