温泉妖精

温泉妖精

2021年7月24日

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「温泉妖精」黒名ひろみ 集英社

 

第39回すばる文学賞受賞作なんだそうだ。読んだあとで知った。読もうと思ったのは、どこかの書評で面白そうと思ったからなんだが。
 
容姿に自信がないので整形に整形を重ねて、カラーコンタクトも使って「エリザベス・リンチ」なんて名前のハーフを装っている主人公が、ゲルググというブロガーの温泉ブログを愛読していて、そこでなかなか評価されているらしい温泉を訪れる話。
 
・・・って読みなっがら、ふと最近起きた事件に激似じゃん、と気がつく。でもこっちの小説のほうが先だ。面白い設定の小説だなあ、と書評を読んだ時は思ったのだが、現実に起きてしまうとしょっぱいだけの出来事だなあ。
 
親が自分の夢を子どもに無理やり託すと、託されたほうはしんどいよね、と、姉と妹と全然違うのに同じ扱いにしようとしても無理だよね、と、自分を偽っても虚しいだけだよね、というお話。なんかどれもわかるんだけど、そして、もっと膨らませたら面白い話になりそうなんだけど、実際、途中まではわくわくしながら読めたんだけど、尻窄みになっちゃったなあ、という感想。
 
うーん、もっとがんばれ。

2016/5/2