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「私の絵日記」藤原マキ 北冬書房
「本の雑誌」で椎名誠が薦めていた。
藤原マキは「ねじ式」のつげ義春の妻だ。この日記に登場する「オトウサン」がつげ義春である。オトウサンは、骨董屋で歯の標本を買ってきたり、仕事と称して部屋の片隅でカメラをいじっていたりする。途中で精神的に不安定になり、会話がなくなったりする。新作が発表されなくなったつげの事情がかいま見える日記でもある。
マキさん本人が癌研に検査に行く日の出来事も書いてある。検索してみたら、1999年にマキさんは癌で亡くなっていた。そうだったのか、と胸が詰まった。
という個人的事情を知る要素もあるが、のどかな日常の日記である。穏やかで静かな日々が描かれている。小さな子どもがいる生活っていいな、と思い出した。
2014/5/13