考えるための日本語入門

考えるための日本語入門

2021年7月24日

130

「考えるための日本語入門 文法と思考の海へ」井崎正敏 三省堂

 

子供の頃から、「考えるってどういうことだろう」という疑問があった。
 
頭の中に何らかの思考が浮かぶ、という瞬間があって、その直前まではなかったものが頭の中に浮かぶのだが、それはどの様に起きている現象なのか、一度「考えて」しまったら最後、それは決して消えないが、別に音が流れているわけでもなければ、字が見えるわけでもない。が、確実に「言葉」で物を考えているわけで、知らない言葉を使っては考えられない。新しい言葉を知ればその分だけ考えは広がるのだが、新しい言葉というのは、今まで知っていた言葉で説明できるものでしかない。そもそも考えるとは何かと考えている私は一体何を考えているのだろうか・・・と延々とわけのわからないことを考えてしまう、可愛げのない子供であった私は、大人になっても結局その回答を得られないままである。
 
であるからして、この本の題名は、私にとって非常に魅力的なものであった。だが、その内容をどこまで理解できたかと問われると、うーん・・・・よくわからんのである。私達は日本語で考えるから、考える手続きは日本語文法の条件に従っている。この本は、思考という観点から日本語の文法構造を探求している、という。その姿勢は、もう、ヨダレが出るほどに魅力的。でも、受け取りきれなかった、という無力感が、読後に残る。私の力不足か。もっと時間をかけてじっくり読めばいいのかなあ。ああ、アタマの余裕がほしい。断片的に、興味深い部分はものすごくあったのだけれどね。助詞「は」についての考察とかさ。助詞一つで、文章は決定的に変わる、ということは経験から学んでいるし。
 
国文科に行けば、こういう勉強ができたのだろうか。生まれ変わったら、国文科もいいかも。なんて言ってないで、老後は国文法をちゃんと学ぶって手もあるぞ。で、どこで、何に活かすんだ?美しい遺書でも書くとかか。それも、ありっちゃありかもね。
 
 

2019/2/9