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2021年7月24日

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「I (アイ)」  いがらしみきお 小学館

いがらしみきおを、もう二十年以上読んでいる。もともとは、「あんたが悪いっ」や「かかってきなさい」みたいな、下品でむちゃくちゃな作品を書いていたのが、なぜか「ぼのぼの」のような不思議な路線に変更し、おお、メルヘンで行くのかい、と思っていたら、「もいじーちゃん」みたいな幼児モノに移り、と思ったら、今じゃ「かむろば村」路線からついに、ここまで来たか!という変動を遂げている。

「かむろば村」でも、極めて人間臭い・・というか人間そのものの「神様」が登場していたが、この「I(アイ)」もかなり変形して神様が出てくる。いがらしみきおも描く神様は、いつだって、人間よりもかっこ悪く、汚くて、蔑まれてさえいる。

いがらしみきおはどこへ行くのだろう。この作品が、優れているのか、そうでないのかさえ、私にはわからない。ただ、得体のしれない力があって、読者は引っ張られてしまう。どこかに真実が隠されているのではないか、と思って、つい読んでしまう。もう、神様にたぶらかされているのかなあ。

その内に、新興宗教の教祖様にでもなるのだろうか、いがらしみきおは。

2012/4/28