「腰痛探検家」 高野秀行 集英社文庫
最近、高野さんはヘタレだなーと思ってたら、あらら、腰痛のジャングルに踏み迷い込んでいたのね。
その森林は、私も迷いこんで抜けられなかったことが度々あるので、よくわかる。
あれは、あれで、大変な密林だし、抜け道を探るのが尋常ではないことも知ってる。
そう、あれもまた、探検ではあるのね。
読んでいて身につまされるのは、腰痛について語ると、みんな何かしら薀蓄を持っていて、そして、必ず「カリスマ」と呼ばれる人がどこかに存在し、その人にかかるとあらら、一発でピタリと治ってしまう、という伝説がある。
そういう人は、大抵、独力で理論を構築し、技術を探り当て、そして、医学をあまり信用しない。自信にあふれて「必ず直ります」と断言する。
だけど、針でもマッサージでもカイロでも、実際に行ってみると、施術されたその時は、なんだかよくなったように思えても、ピタリと治るってことはないし、だらだら通っているうちに、行くのがだんだん嫌になってしまって、足が遠のいたりする。遠のくから、施術者はきっと「ああ、治ったんだ」って思うんだろうなあ、と思うんだよね。
高野さんも、そんな感じで、いろいろな場所を回って歩いたけれど、どれもちゃんとは治らない。ってか、どんどん悪くなるんだな。西洋医学じゃ、どうにもならないし。
夏樹静子さんの「椅子がこわい」は、心因性の腰痛の話だったし、そこも、高野さんは疑ってみる。
笑えたのは、次の一節。
「じゃあ、もっとわがままに生きろってことか!?」
「え、今より!?」
妻は仰天した。
(「腰痛探検家」高野秀行 より引用)
そりゃねえ、高野さんくらい、好き勝手に生きてる人に、ストレス、心因性だって抗鬱剤を出す方も出すほうだと思うよ。真に受ける高野さんも高野さんだ。私も妻なら、仰天するさ。
しかし、少々好転はしているらしい。長く立っていられるようになったし、歩きまわってるみたいだし。
私も、二回の出産後に、幾つか接骨医や、はり治療院等をまわったけれど、いつのまにか、なんとかなってたもんなあ。今だって、ごくたまに、あ、やっちまったぜ、って時があるけど、なんとかなってる。筋トレを始めてから、良くなった気がするけど、これも、気のせい?
腰痛は、人類の、永遠のテーマかも知れません。
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2010/12/11