街場の現代思想

街場の現代思想

2021年7月24日

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「街場の現代思想」 内田樹 NTT出版

2004年の出版なのね。もしかして、内田先生には、このあたりから踏み込んでいくのが道筋だったのかな。内田先生らしいキレのいい論理が読みやすく書かれています。

第一章の「文化資本主義の時代」に、なるほど、と膝を打ってしまいました。
「越すに越されぬ、バカの壁」「文化資本とは何か」には、そうか、今まで私が漠然と考えていたことを整理し、論理化すると、こうなるのだな、と思うほど共感できる部分もありつつ、しかしながら、ここまで言っちゃっていいのか、その場合、自身の立ち位置はどうなるのか?という疑問も生まれたのでありました。

しかーし!その疑問も、先を読み進むに連れ、解明されて行き、最後は、おお、そのようにオチをつけるのか!と笑ってしまったのであります。

文化が「資本」になると聞くと、目端の効いたガキは「これからは教養で勝負だぜ」と算盤をはじく。「これからは読書量が出世のカギらしい」と聞かされれば、『世界文学全集』の読破を企て、ぐいぐい読み進む。ぐいぐい読み進むうちに、うっかりサドとかニーチェとかバタイユとかを読みだして、気がついたら出世なんかどうでもよくなってしまった・・・というような逆説は文化資本主義ならではの味わいである。

(引用は「街場の現代思想」内田樹より)

後半は、半分人生相談みたいになっている。敬語について、お金について、転職について、結婚という終わりなき不快について、その他もろもろの問題について、内田先生が相談に乗ってくれているのでありますが、私が面白かったのは、最終回「想像力と論理について」なのでありました。

これ、もっと前に読んでいればよかったなあ!

2011/9/6