衣もろもろ

衣もろもろ

2021年7月24日

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「衣もろもろ」群ようこ 集英社

 

ミカンさんから教えていただいた本。ミカンさん、ありがとうございました。
 
おばちゃんになると、体型が「老」に向かっていく。年をとるって悪いことばかりじゃないわ、とか、シワなんて怖くない、と思っていても、実際に鏡に映った自分を見ると、愕然とすることはある。
 
群さんは元々それほどファッションにこだわりがある方ではない。ただ、ある程度きちんとした格好をしたいという意思があっただけだ。だから、そこそこの服装を準備しておけばそれで良いと思っていたのだが、これまで何とかやってきた服装が、おばちゃんになってどれもこれもみすぼらしく似合わなくなってきたことに気づく。
 
ジャケットやコートや靴やかばん、アクセサリ類。おばちゃん化しつつある自分が身につけるべきものを探して彷徨う、その苦労話が集められたのがこの本だ。恐ろしいほど、共感してしまった私。
 
女性は似合うものじゃなくて、理想のファッションを追ってしまうものだそうだけれど、そこを何とか、似合うものと出会うべく、おばちゃんはオロオロと探しまわるしか無いのだ。
 
群さんは、理想の服をこう表現する。
「大量生産ではなく値段も手頃で、欠点の多い体型をうまく隠してくれて、センスもよく見えて素材もいい。着ていて自分もうれしくなるし、会った人にも似合うと言ってもらえる服」(引用は「衣もろもろ」より)
 
そして、そんな服はないのだと分かったと断言する。
だよなー。
それは、ないものねだりだ。
それは無理だけど、自分の魅力を自分で磨きながら、「着る」を楽しむしかない、と。
まあ、そうだよなー、とファッションセンス皆無の私も同意する。
おばちゃんは、おばちゃんなりに、失敗したり、勘違いしながらも、自分自身の満足に向かって何とかあれこれやってみるしか無いのだよなあ。

2014/8/20