辮髪のシャーロック・ホームズ

辮髪のシャーロック・ホームズ

104 莫理其斯(トレヴァー・モリス) 文芸春秋

これも「モトムラタツヒコの読書の絵日記」に教えられた本。モトムラさんのおかげで読書が広がって、うれしい。

1881年から1885年までの間の香港を舞台にした探偵小説。福邇(フーアル)という探偵と、彼の助手、華笙(ホア・ション)がいくつかの事件を解決する物語。この二人のモデルは、言わずと知れたシャーロック・ホームズとワトソンである。シャーロック・ホームズ好きにはすぐわかるたくさんの元ネタが詰め込まれている。しかも、1880年代の香港、中国、アジアの情勢が丁寧に描かれていて、歴史的背景まで楽しめる。香港に旅行したことがある人なら、そうか、その時代はあそこはそんな場所だったんだなー、なんてことまで楽しめちゃう。

私が小学生の頃は、多少読書好きな子はみんなシャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンを一通り読んでいた。どっちが好きか、なんて話で盛り上がったこともある。今の子はそんなことないのかな。もうホームズ全集なんて誰も読まないんだろうか。「緋色の研究」や「赤毛連盟」なんて言っても、なんのこっちゃ、なんだろうか。そういえば、辮髪って何なのかもわからないのかもしれない。

面白いのにな。この本をきっかけに、本家本元も読んでみようと思うような人も出てくるのかもしれない。順番、逆だが、それもアリだな。ってか、これからシャーロック・ホームズを初めて読める人は、面白い物語がたくさん残されていて、幸せだろうなあ。