金刀比羅宮

旅の続きです。

夕食のレストランの窓から、延々と上に続いている金刀比羅宮の参道の階段が見えました。
「あの階段の上が本宮ですか?」という質問に、ボーイさん、
「いえ、あの階段の一番上が、参道の入口です。あとは緑に隠れて見えませんが、あそこから、ずうっと登っていくんです。」
ぎょえー、そんなに上かよ、GWに行った熊野神社より凄いじゃーん!とおののく我々。でも、来ちゃったから、行かなくっちゃね。

朝、宿の支払いを済ませていたら、フロントに、「伊藤若冲 特別展『百花若冲繚乱』」のポスターが!金刀比羅宮で会場を幾つかに分けて、若冲を展示しているのだそうです。
以前、滋賀県の若冲展の情報をゲットしていたのに、タイミングが合わなくて、行けなくて、残念だったのです。おお、こんなところで若冲に会えるのかい!!

で、延々続く参道です。かなり傾斜もきついです。なんと、上まで運んでくれる籠まであります。でも、乗ったら、酔いそう。店の両側にはおみやげ屋さんがズラッと並んでいます。お店の奥に、大きなシーツを貼って、そこには本宮の絵が描いてあったりします。もう、疲れちゃったら、ここで、写真だけ撮って帰れるんですね。

「困った息子です」とプリントしたTシャツが売っていて、買うかどうか、なんども検討会議が開催されました。「困ったダンナです」「我儘な親父です」などがあるのに、何故か「困った娘です」も「鬼嫁です」もない。必要ないからだろうね、と言い合う私とおちび。

ここまで何千段、ここからあと何千段、という表示が時々ありますが、正直言って、元気が出るというよりは、がっかりさせるためにあるとしか思えない。登っても、登っても、先があります。金刀比羅宮は、黄色がお約束なのか、「幸福の黄色いお守りあります」という張り紙や、「こんぴらさんでしあわせをいのろう」と書かれた黄色い大きな横断幕がはためいています。

鳥居をひとつくぐると、女性が五人、それぞれに傘をさした下でべっこうあめを売っています。同じ商品を、同じ様な露天で並んで売っていて、これは、誰から買うか、結構なプレッシャーだな、と思ったり。(古くから、境内で飴売りを許されているお家柄らしいです。)

すげー頑張って、やっと本宮にたどり着きました。しっかりお参りをして、それから、おちびはお守りを買います。自分のお小遣いで!へー、そうなんだ。

金毘羅さんは、船の神様。
堀江さんが乗っていたソーラーボート「マーメイドモルツ号」が奉納されていました。また、額に入った船の写真が、沢山奉納されています。中には、セピア色になった軍艦らしき船の前に整列した軍人らしき人々の写真も。この人たちの、いったい何人が、無事に生還されたのだろう、と少し考えてしまいました。
奉納倉の柱には、マジックなどで落書きがいっぱいされています。「幸せになれますように」なんて落書きして、バチが当たるぞ!「お金持ちになれますように」なんて、貧乏になっちゃうぞ!「成長できますように」なんて、成長が止まるぞ!と怒ってたら、「それは、無理だ。」と、夫。まあ、そうなんですけどね。なんで、こんな場所に平気で落書きができるんでしょう。神様に怒られるって思わないのかな。

絵馬がたくさんぶら下がっていて、ちょっと読ませてもらいました。

「〇〇くんが開成中学 灘中学 ラ・サール中学に現役合格しますように」・・・って、現役じゃなかったら、浪人するのかい?それにしても、金比羅に来る地に住みながら、ずいぶん間口を広げた受験体制だね。
「運命の人に出会えますように」・・・って、会えたかな。
「じがきれいになりますように」・・・って、うんうん、まだのびしろが、かなりある字です。

一番面白かったのが、
「大人になったら大男になれますように。  五人でくらしたいです」という絵馬。

おいおい。大人になったら、いきなり大男になっちゃって、しかも、見知らぬ人が五人集まってきて「一緒に暮らしましょう」といわれたら、どーすんだよ?
いや、気持ちはわかりますが。

それから、長い階段を、また下って、奥書院と言うところで「伊藤若冲 特別展『百花若冲繚乱』」です。かなり照明が落としてあって、見にくかったのですが、沢山の花が、金箔の襖に描かれていて、どの花が一番好きかで、盛り上がりました。

さらに、椿書院という場所で、田窪恭治氏が描きかけている椿の障壁画を見ました。パステルで、襖から柱にまではみ出して、部屋いっぱいにたくさんの椿が力強く描かれている、まだ未完の作品です。
おちびは、一目見て大興奮。これは、一緒に描きたい、花ひとつくらいは塗らせて欲しい、あそこはまだ下絵だから描ける、と。
ショップで、早速、椿の絵葉書を買いました。

そうしたら、次に入った高橋由一館のロビーに、田窪恭治氏が!
おちび、絵葉書を取り出して、すぐにサインを頂きました。あの絵をすごく楽しんで、自分も手伝いたいって言ってたんです、というと、「あ、じゃあ、おうちに帰って描いたら・・・叱られるか。」ですって。そうよ、うちの襖には描かないでね。椿の絵も、一緒にちょっと描いてくださいました。ラッキー!

2010/7/9