関西って楽しい

関西って楽しい

2021年7月24日

ご近所のジーンズ屋さんが今月で閉店します。
それで、たたき売りするっていうので、通りがかりに覗いてみたら、もう、売り場が三分の一くらいに縮められていて、おねだんも三分の一くらい。

ふうん、と見ていたら、丸いくるくる回るハンガー掛けの上に「105円」って貼ってあって、ジーンズが何着もかかっています。

105円のジーンズか・・・と近づいたら、先客のおばちゃんがお一人いて、いきなり私に
「全部、サイズ61やねんで!」
と教えてくれます。
「全部確かめたねんけど、どれも61やねん。せめて、64なら、まだ希望もあるんやけどね。」
お見受けするに、ウエストは70以上、優にありそうなおばちゃんではありますが。

「ここって、試着室あるねんな。物は試し、試着だけしてみて、万が一ってこともあるわ。おねえちゃんなら、61、いけるんちゃう?一緒に試さへん?」
と、これまたいきなりお誘いされます。

ちなみに、関西では、私くらいの年回りなら、間違いなく「おねえちゃん」です。もう少し若けりゃ「おじょうさん」で、さすがに「おねえちゃん」とは呼べないな、という年配の方は「おかあさん」と尊敬を込めて呼ばれます。

なんだか楽しくなっちゃったので、
「まあ、試すだけなら、やってみましょうか。」
と答えてしまった私。
「試着します!」
と、店員さんに、声高らかにおばちゃんは宣言し、一緒にお隣同士の試着室に入りました。

入るなり、
「あかん!だめだわ!足から入らん!」
と悲鳴が。
「おねえちゃん、私、諦めるわ!」
とカーテン越しに声をかけられます。

言われた私はというと、入りましたよ。
入って、チャックもボタンも締まりました。
でも、一歩も動けません。
万が一、動けたとしても、座れません。
万が一、座れたとしても、立てないでしょう。
ご飯なんて、一粒も食べられないでしょう。

私も、静かに脱いで、黙って試着室をでました。
「あかんかったー?」
と、くだんのおばちゃんに、大声で呼びかけられたので、
「だめでしたー!」
と笑って答えました。
奇妙な連帯感が漂ってました・・・・。

夜、この話を夫にして、関西ならではだなあ、としみじみ言い合いました。
関東だと、まず、ここにあるジーンズのサイズが61だけだという情報を共有しようとする人がいないでしょう。
ましてや、一緒にダメもとで試そう、なんてお誘いを受けるわけがない。

関西って楽しいわ。
私、関西、向いてるかも。
と、また思った今日のできごとでした。

2011/9/20