47都道府県女ひとりで行ってみよう

47都道府県女ひとりで行ってみよう

2021年7月24日

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「47都道府県女ひとりで行ってみよう」益田ミリ 幻冬舎文庫

 

33歳から37歳まで、毎月東京から一人で47都道府県にひとり旅をした記録。どこも一泊か二泊、特に下調べもしないで、なんとなく行ってぶらっと歩いて。夫がいたり子どもがいたりするとなかなかできない旅だよなー、と読みながら思っていたら、最後にご本人もそう書いてらした。
 
益田ミリさんって、女が一人で、取り立てて大きなこともできないで、くよくよしたり、うじうじしながらも、でもちゃんと生きていることを前向きに捉えようとする漫画を描いている。そうだよねー、たいへんなこともあるけど、がんばろうよね、といつも思って読んできた。
 
うーん、でも、この本は、私はあんまり楽しくなかったかも。私が旅好きなせいかもしれないけど。せっかく47都道府県に行くのに、あまりにテンションが低すぎるし、行った先でもぼんやりしすぎている気がしてもったいないのだ。
 
魚介類が嫌いだから、名物が食べられないかも、と旅の初期の頃はびくびくしている。途中からは、もう名物なんて無理して食べなくてもいい、とそこらのコンビニのお惣菜でご飯を済ませたりしている。なんてもったいない・・・と私は思ってしまう。名所に行って歴史的な背景の解説を見ても、歴史にそもそも全く興味が無い、で終わらせてしまっていて、すごく残念になる。
 
天丼を頼んだら、シャコの天ぷらが載っていて、見るのも怖いからお手拭きで隠して残した、なんてのを読むと、あーわかるわかるって人もいるのかもしれないけど、私はがっかりしてしまう。
 
屋台がずらっと並んでいるのを見ても、ここに入るなんて無理無理、地元の人と触れ合える私じゃないし、触れ合うつもりもない、とホテルでお惣菜って・・・。旅って、何なんだろう、と思ってしまう。あ、これ、私の価値観だけでモノを言ってるんだけどね。
 
ご本人は、人生は一回しかない、ということをこの旅を通して学んだそうだ。たしかに一期一会を感じるよね、あちこちに行っていると。それはそうだけど、もう少し前向きになったら、もっと旅を楽しめるのに、もったいないなー、と思わずにはいられない本だった。

2014/6/1