やまんばのにしき

やまんばのにしき

2021年7月24日

「やまんばのにしき」 まつたにみよこ 文  せがわやすお 絵

私が小3の時、生まれてはじめて公共の図書館というところに連れて行ってもらった。自由に本を選んで借りて読んでもいい天国みたいな場所がこの世にあると知って、驚愕、感激したのを覚えている。

その時に、そこで読み聞かせをしてもらったのが、この「やまんばのにしき」だ。もうどんな話だったのかもすっかり忘れてしまっていたけど、この度、三年生のクラス担当になったので、本選びをしていて、この本にぶつかった。読み返してみたら、おお、そうだった、そうだった、といろんな光景がよみがえってきた。

だだはち と ねぎそべ という二人の若者の名前も思い出した。当時は、「わかもの」っておじさんのこと?みたいな感覚だったなあ。今なら分かる。うちの息子くらいかな、だだはち。実際問題、やまんばが怖くて、もち桶をほうりなげてにげ帰りそうだわ、息子。

そして、あかざばんばの肝の据わっていることといったら。分かる気がする。そうだわ、女は、いざって言うとき、実は強いのよね。「おらがくわれればすむこんだ」って、山をのぼってっちゃう。どうよ、母親の皆さん。のぼってっちゃうでしょ。別に、それって勇気だとか賞賛されるべきことでもなくてさ。母は、強いのよ。

三年生のクラスで読んだら、読み始め、自分の爪をほじくって、ぜんぜん興味を示さない女の子がいたのね。この子が、息つめて聞き込むくらいだといいなあ、と思いながら、読んでいたら、最後の方、ふっと見ると、目を見開いて、じーっと聞いてるの。やったあ、今日は当たりだわ、とうれしかった。

みんな、風邪もひかんと、まめで暮らせるといいだね。

2009/2/18