料理なんて愛なんて

料理なんて愛なんて

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冬、暖かい部屋で、包丁でホッキョクグマの解体をする。キャッチーな始まりだ。それがどうなるかは、読めばいいのだが。

好きになりたい人を好きになれず、好きでいることをやめたい人をどうしても好きでいてしまう。料理好きになりたいのに、料理が苦痛でならず、みりんを買う勇気がどうしても出ない。めんどくさいアラサー女子のめんどくさい恋愛物語。

私は料理代わりと好き。というのも、食べるのが好きだからだ。コンビニ弁当やチェーン店で済ませるよりは、家でちまちまと作ったほうが楽しいし、うまいじゃないか、と思う。この本の主人公の仇みたいな人間だよな、と我ながら思う。

好きな人の理想が、料理好きな女性だったから、料理を好きになりたい、というのはまだわかる。料理が好きなのは、「正しい」から、「正しい私」になりたいというのはよくわからない。料理が嫌いでも正しい人間なんていくらでもいるのに。そう、理屈ではわかっているだろうに、いつまでもそこに拘泥してしまうのが主人公の苦悩ではあるのだけれど。

どこかで他人事のような、深く考えているようで実は浅い場所を端から掘っ散らかしているだけのような、真剣なようでどうでもいいと逃げているような、若いってそういう事かもしれないけれど、そんな感じがする。もう、それが私にはめんどくさい。嫌ならやらなきゃいいじゃん、好きなら好きでいいじゃん、駄目なら駄目でいいじゃん、グズグズ言うなよ、とおばさんイラツイちゃう。

でもうまいのよ。読ませちゃう。読ませちゃうけど、じゃあ、どこに到達するの、と言ったら。愛は成立するのかなあ。好きで好きで結婚した夫婦が、三年後、五年後にうんざりして「どうしてこいつ選んじゃったんだろう」豊中にため息をつく、そんな末路が見えてきそうで、なんだかなあ。いい人ばっかりでてくるんだけど。みんな一生懸命生きているらしいんだけど。深くない。浅い、というよりは、深くないんだよなあ。と思った私。