「新」太郎神話

2021年7月24日

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    『「新」太郎神話 岡本太郎という宇宙での遊泳』 

ジミー大西 島田雅彦 日比野克彦 みうらじゅん 中村メイコ テリー伊藤     森村泰昌  勅使河原宏  横尾忠則  三浦雄一郎  遠藤賢司 奈良原一高    日向あき子  永六輔   黒柳徹子              二玄社

関西に住むようになってから、何度となく万博記念公園に行っている。行くたびに、私は太陽の塔に打ちのめされる。あの存在感に、呆然とする。太陽の塔は、すっくと立って、どうだ!とでも言うかのように、威張って立っている。そこには、ものすごいエネルギーが満ちている。

こんな凄いものを作った人がいた。無茶苦茶だとか、とんでもないとか言われながら、結局、他の建造物は全てなくなったのに、これだけが残って、堂々と立っている。これを撤去しようなんて誰も思わない。いつまでも、太陽の塔はここに立っているだろうと思えるような立ち方で、どっしりと立っている。

子供時代、私の知っている岡本太郎は、グラスの底に顔があったっていいじゃないか、とか言っていた。それから、タモリの番組で、訳のわからないことを言って、なんだか困ったおじさんになっていた。変な人だとしか私は思わなかった。

ごめんよ。今頃になって、私は謝っている。こんな凄いものを作った人だったんだ。

この本は、岡本太郎と様々な関わりのあった人が、色々な観点から彼を語っている。ジミー大西に、岡本太郎は手紙を送っていたんだって。だから、彼は絵を描いているんだそうだ。そうだったんだ。

岡本太郎は、実はものすごく博識で知的でスマートで優しい人だったらしい。テレビの姿は演出だったのね。ああ、子どもの私は騙されていた。

実は、岡本太郎の顔は、亡くなった義父の顔にちょっと似てる。そして、義父と夫はそっくりだ。だから何だと言われたら困るけど、私はこういう顔の人を信頼する。理解されない部分も多いかもしれないけれど、絶対に、すごく良いものを持った人だ。

黒柳徹子の、最後の言葉が良かった。

素敵な方でした。わたしは岡本太郎さん、大好きでした。うんと大人で、うんと子どもでした。

                (引用は『「新」太郎神話』より)

2012/8/6