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『「新」太郎神話 岡本太郎という宇宙での遊泳』
ジミー大西 島田雅彦 日比野克彦 みうらじゅん 中村メイコ テリー伊藤 森村泰昌 勅使河原宏 横尾忠則 三浦雄一郎 遠藤賢司 奈良原一高 日向あき子 永六輔 黒柳徹子 二玄社
関西に住むようになってから、何度となく万博記念公園に行っている。行くたびに、私は太陽の塔に打ちのめされる。あの存在感に、呆然とする。太陽の塔は、すっくと立って、どうだ!とでも言うかのように、威張って立っている。そこには、ものすごいエネルギーが満ちている。
こんな凄いものを作った人がいた。無茶苦茶だとか、とんでもないとか言われながら、結局、他の建造物は全てなくなったのに、これだけが残って、堂々と立っている。これを撤去しようなんて誰も思わない。いつまでも、太陽の塔はここに立っているだろうと思えるような立ち方で、どっしりと立っている。
子供時代、私の知っている岡本太郎は、グラスの底に顔があったっていいじゃないか、とか言っていた。それから、タモリの番組で、訳のわからないことを言って、なんだか困ったおじさんになっていた。変な人だとしか私は思わなかった。
ごめんよ。今頃になって、私は謝っている。こんな凄いものを作った人だったんだ。
この本は、岡本太郎と様々な関わりのあった人が、色々な観点から彼を語っている。ジミー大西に、岡本太郎は手紙を送っていたんだって。だから、彼は絵を描いているんだそうだ。そうだったんだ。
岡本太郎は、実はものすごく博識で知的でスマートで優しい人だったらしい。テレビの姿は演出だったのね。ああ、子どもの私は騙されていた。
実は、岡本太郎の顔は、亡くなった義父の顔にちょっと似てる。そして、義父と夫はそっくりだ。だから何だと言われたら困るけど、私はこういう顔の人を信頼する。理解されない部分も多いかもしれないけれど、絶対に、すごく良いものを持った人だ。
黒柳徹子の、最後の言葉が良かった。
素敵な方でした。わたしは岡本太郎さん、大好きでした。うんと大人で、うんと子どもでした。
(引用は『「新」太郎神話』より)
2012/8/6