あの家に暮らす四人の女

あの家に暮らす四人の女

2021年7月24日

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「あの家に暮らす四人の女」三浦しをん 中央公論新社

 

「細雪」とか「桜の園」とかみたいに様々な年代の女性が四人集まって暮らす生活を描いた作品。婦人公論に連載中、何度か見かけたけど、集中して読もうとは思わなかった。本になって一気に読めて嬉しい。
 
ここに登場する女性たち、好きだなあ、と思う。女性が集まると陰険だとか妬み合うとかよく言われるけど、そんなんじゃない、といつも私は思う。分かり合って助け合う関係性だってちゃんとある。そっちの方が多いぞ、と私は思ってる。それぞれが正直に誠実に、そして時にかっこ悪くダメになりつつ、ちゃんと助け合う関係性。三十過ぎて独身だとか余計なお世話よ、みんなそれぞれに立派にやってるんだから。
 
四人の女性たちに対する三浦しをんの視線が温かい。・・・のだが、本文中に、いろんな視線がいきなり登場して、驚くというか、混乱するというか。でも、私はそれが邪魔だとは思わなかった。三浦しをんらしい展開で笑っちゃう。攻めるなー、って感心する。
 
高倉健に憧れる正体不明の山田さんも、なかなかいい味を出している。それぞれの登場人物を、それぞれに好きになれる良い小説だ。
 
 

2016/3/11