うさぎおいしーフランス人

うさぎおいしーフランス人

2021年7月24日

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「村上かるた うさぎおいしーフランス人」村上春樹 安西水丸・絵 文藝春秋

 

村上春樹の「全く世の中のためにはならないけれどときどき向こうから勝手に吹き出してくる、あまり知的とは言いがたい種類のへんてこな何か」によるかるた集。良き理解者、安西水丸の挿絵が素晴らしい。惜しい人をなくしました。
(引用は「うさぎおいしーフランス人」村上春樹 より)
 
私は、大喜利が好きだ。大喜利の名番組「IPPONグランプリ」には「このかるたの読み札を教えて下さい」というコーナーがあるし、伊集院光の深夜番組「深夜の馬鹿力」には「新勝ち抜きかるた合戦・改」という名コーナーがある。かるたは、果てしなく大喜利に近い分野である。言葉の持つ深み、その背景にあるイメージ、すべてを総動員して短い言葉で多彩な世界を描き出す。なんて立派なことを書いたけれど、結局のところは笑えればいいのだ、あるいは、おお、そんな方向から!!と驚けばいいのだ。くだらなくてもいいのだ。
 
先日、SONGSで宇多田ヒカルと糸井重里が、ユーモアって、どうしようもない壁にぶち当たった時に、それを超える武器だ、というような話をしていた。そうだよなあ、と思った。笑うことで、つらい現実を軽やかに受け入れることだって、時にはできる。ユーモアって大事だよね、と二人がしみじみ話しているのを見て、私がちょっと笑っただけで「ふざけるんじゃない!」と怒鳴りつけられた子ども時代を思い出してしまった。
 
私はできることならいつでも笑っていたい。

2016/9/23