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「おさんぽさんぽ」西巻茅子 福音館
主人公の女の子が、ビスケットをもってひとりでおさんぽに行く。おじぞうさんに行ってまいりますをして、とちゅう、ねこといぬと出会っていっしょにあるく。ベンチでおやつをいっしょに食べていたら、うまがやってくる。おやつをもらったおれいにうまが公園を二周、乗せて回ってくれて、さよならをしてみんなそれぞれの方向に帰っていく。
子供時代、馬が飼いたかった。長くつ下のピッピに憧れていたからなんだけど、馬と友だちになって、乗せてくれるというのは、もう、ものすごい夢だ、あこがれだ。
西巻さんの絵本に出てくる子どもは、ひとりでおさんぽをする。食べ物を持って、出会う友達に分け与える。生きるということの基本をひとりで行い、そして戻ってくる物語だ。それは、幼児にとっては大冒険で、自分がちゃんとひとりでやって行ける自信を培う貴重な体験である。
「またあした」とかえっていく女の子はどんなに満ち足りているだろう、と思う。西巻さんは、子どもをひとりの人として尊重し、信頼し、愛情深く見守る母親のようだ、と思う。
2017/11/20