マッティは今日も憂鬱

マッティは今日も憂鬱

2021年7月24日

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マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議」

カロリーナ・コホネン 方丈社

「かもめ食堂」という映画が好きだ。フィンランドでレストランを経営する小林聡美のところへ、片桐はいりや、もたいまさこが転がり込むという黄金のキャスティングである。その映画に登場するフィンランド人が、揃いも揃っておとなしくてシャイで内面的であった。たまたまかと思ったら「二度目のフィンランド」というテレビ番組で、フィンランド人の内気さが紹介されていた。彼らは、ヘヴィメタルのライブで大人しく着席して聞き入るのだ。

「マッティは今日も憂鬱」は、そんなフィンランド人気質を描いた、漫画というか、絵本である。見知らぬ人とエレベーターで二人きりなのが気まずかったり、買い物先で店員に声をかけられるのが負担なのだが、尋ねたいことも聞けなくて逡巡したり、知り合いだけど挨拶するほどの仲なのか、とその微妙さに悩んだり。まるで日本人じゃないか、と笑ってしまう。

ヨーロッパって、みんな自己主張が激しくてぐいぐい来る人たちばかりかと思っていたら、片隅にはこんなシャイな人たちがいたのね。なんか好きになる。

2017/9/6