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「においのカゴ」石井桃子 河出書房新社
このところ、石井桃子というのはじつはとんでもなく偉大な人であったのではないか、とやっと気付き始めている私である。遅い!遅すぎるよ。
こんど、私は、夏休みに村に帰って「国連支部」のガツねえちゃんが、年をとってぼけてきたという話をききました。
そういえば、ガツも、もうおばあさんだからなあ、ことしは九つかな、と私は考えました。
(引用は「においのカゴ」石井桃子 より)
どこかの雑誌の書評欄に、この本の「ガツねえちゃん」の書き出しが引用されていて、それだけですっかり参ってしまって、すぐさま図書館にリクエストを出してしまった。国連本部のガツねえちゃんって誰だ、とそれだけでわくわくしてしまった。
ガツねえちゃんの正体については、皆さんそれぞれに読んでいただくことにして。石井桃子は、日々の生活を確実にしっかりと自分の足で踏みしめて生きてきた人だ、としみじみ思う。なんでもない文章や物語のあちこちから、凛とした姿勢がうかがわれて、きちんと生きていくことのすごさを感じる。
100歳近くなってもステーキを召し上がってらしたのよ、とかつら文庫のスタッフさんが言ってらしたっけ。100歳までなら、まだ私も半分少し。お肉もしっかり食べなくちゃ、なんて拳を握りしめる私である。
2015/2/8