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「のろのろ歩け」中島京子 文藝春秋
「妻が椎茸だったころ」以来の中島京子。と言っても、書かれたのはこっちが先らしいが。
中国を舞台にした3つの短編。それぞれに関係性はないが、同じような空気が流れている。年頭に香港とマカオを旅したので、その風景を思い出しながら読んだ。中国って奥底が計り知れない国だ。雑多で、いけ好かなくて、面倒で、でも、深くて、賢くて、温かい。つまり、人間ってそういうものだということか。
すれ違う人との交流のじわっと来る感じと、とにかく登場する食べ物が美味しそうなのが印象に残った。中島京子はうまいなあ。
2018/12/6