妻が椎茸だったころ

2021年7月24日

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「妻が椎茸だったころ」中島京子 講談社

もうさ、題名がいいよね。妻が椎茸だったんだものね。で、読んでみると、ハクビシンと恋仲だったり、隕石だか猿だかに体を乗っ取られているのかもしれなかったり、食虫植物に魅せられてたりする。この人の作品は、例えば「ゴースト」ではそこいら中にゴーストがいたし、「かたづの!」では一本足の羚羊がことあるごとに助けてくれたり、リアルな現実とファンタジーの世界が混じり合ってなんのふしぎもない。それがいいんだなあ。

五編の短編が収録されているのだけれど、最初の「リズ・イェセンスカの許されざる新鮮な出会い」なんてスティーブン・キングを読んでるみたいだった。大真面目にほら話を話すお姉さんが近所に住んでいる、みたいな感覚で読めて、とても良かった。

2018/5/1