ぷちナショナリズム症候群

ぷちナショナリズム症候群

2021年7月24日

206
「ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義」香山リカ 中公新書

ちょっと前に読み終えた本。申し訳ないのだけれど、あんまり印象に残っていない。一番覚えているのは、以下の部分。

追い詰められた状況であればあるほど、人間はシンプルな極論に飛びつきやすい。これは、洗脳の心理的メカニズムの研究からも明らかにされている。苦痛の原因もわからずに苦しむほど、人間にとってつらいことはない。そういう状況に長く置かれている人の目の前に「悪の原因はこれだ」という説明を差し出すと、それがどんなに荒唐無稽なものであろうと、意外なほどあっさりと受け入れられる。

(引用は「ぷちナショナリズム症候群」香山リカ より)

今、公務員や教員を叩くことが最も人気を取ることにつながっている。その状況を、私は思い出さずにはいられなかった。

香山リカは、日本の若者の、愛国心に対する態度に、何らかの危機感を感じてこの本を書いた。2002年にこの本は書かれている。たしかに、その頃にはなにかしら怪しげな雰囲気があったような気がする。けれど、それから時は経ち、若者は、さらにここにバラバラになっていって、いまや、ぷちナショナリズムさえなくなっているような気もする。いいことなのか、悪いことなのかはおいておくけれど。

私はサッカーやよさこいソーランに、なんのシンパシーも感じない人間である。そして、そういう人間は、ものすごく少数派だと肌で感じている。みんな、ワールドカップやオリンピックの時に、とりあえず熱くなる。いつ、どことの試合があるのか、どっちが勝ちそうなのか、全く知らないと、呆れられるのだ。

私は、国家や集団の団結や一体感に、高揚しない人間である。ここに書いてあることに、あまり反応できないのは、むしろそういう体質が邪魔をしているのかもしれない。

2012/2/23