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「きみがつらいのは、まだあきらめていないから」
盛田隆二 角川文庫
七つの短編が収められている。「本の雑誌」の書評を見て、借りたんだっけかな。うーむ。宮崎駿さん言うところの、「やり直しがきく児童文学」をこのところ読んでいると、こういう小説が、なんとも薄っぺらなものに見えてしまうのは、どうしたことだろう。学生時代の宮崎さんが、石井桃子さんを見て、自身に対して抱いたのは、こんな感慨だったのかな、なんてふと考える。
いやいや。こんな書き方をしたらいけないのかもしれない。どうしようもない状況で、なお、あきらめない、がんばる人間の姿を描いている小説。現代を生きる私たちの抱える不安や苦しさをリアルに描いている。ってことなんだろう。
だけど、だとしたら、今を生きる私たちは、私自身をも含めて、なんと薄っぺらで、甘えきった存在なのだろう、と私は思う。勇気とか、理想とか、愛とか、そんなきらきらしたものとは無縁の、だらだらした現実。そこに落ちる、一滴の涙を拾って描いたとして、それが何か？と投げやりに、私は思ってしまう。
この小説のせいなのか、それとも、今の私の精神状態が、そう思わせてしまうだけなのか。よくわからないけれど、私はこの本を読んで、割とうんざりしてしまったのだ。
事務連絡。パソコン、新しくなりました。やれやれ。
2012/1/30