ぼくたちけっこうすごいかも

ぼくたちけっこうすごいかも

2021年7月24日

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「ぼくたちけっこうすごいかも」いとうひろし 徳間書店

 

くわがたの子ども、くわくわと、かぶとむしの子ども、かぶかぶの友情物語。
 
一緒に遊ぼうと、ほぼ同時に家を出た二人は行き違ってしまい、それぞれにちょっとした出来事に遭遇。そして、ついにみつのたっぷり出るくぬぎしょくどうで対面。スズメバチがみつを独り占めしていて、大人たちは手を出せないんだけど、二人はひょんなことからみつを分けてもらう・・・というか、なめつくすことになる。
 
凶悪な生まれであるがゆえのスズメバチの孤独。
 
かぶかぶは「ガイコッカク」とか「アナフィラキシーショック」とか、なかなか難しい言葉を知っている。博学だ。
 
たぬき寝入りをするかぶかぶとうさんや、ぶよぶよのとかげおやぶんに対する評価は手厳しい。とかげおやぶんのわるぐちうたを大声で歌って、「おおきな こえで わるい こと いうのって、なんだか たのしいね」なんていう。カエルが虫をぱくって食べているところを見ると、顔がひきつってうまく笑えなかったりもする。
 
人生(?)の暗部もかいま見える、二人の子どもたちの一日である。
 
困ったことも起きる。ちょっと怖いこともある。だけど、「ぼくたち、けっこう すごいかも」と彼らは言い合う。あしたもこまったことがあるかもしれないけど、「うーん、だけど、まあ いいでしょう」と考える。
 
こんな子供時代を送れたらしあわせ、と思う物語だった。
 
(引用は「ぼくたちけっこうすごいかも」いとうひろし より)

2015/2/16