わたしの神様

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2021年7月24日

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「わたしの神様」小島慶子 幻冬舎

 

なんで読むことにしたんだっけかなあ。だいぶん前に予約して待たされたので、忘れてしまった。あっという間に読めたけど、読後感はあんまりすっきりしない。
 
作者は現役のフリーアナウンサー。これは女子アナの世界の暴露本みたいなものだから、実際の経験を反映しているのだろうとは思う。それにしてもおっそろしい。本当に、テレビ局ってこんなふうに承認欲求の塊みたいな人たちが集まっているのだろうか。
 
私は女子アナに憧れたことが一度もない。(そもそも無理だってば、ってのは置いといてね。)華やかな世界だと言われているけれど、結構大変そうだ。芸能人や野球選手などと結婚できることを勝ち組と設定するなら、そこへ近づくには良い地位らしいが、いやいや、それが本当に幸せかどうかはまた別の話だってば。
 
主人公のまなみは、綺麗なことが取り柄の女子アナ。その綺麗さだけを武器に世の中を歩く。失敗しても、綺麗さが助けてくれる。自分の取り柄が綺麗さだけであることを、彼女は熟知し、それを全面的に認めている。そこんとこが、なかなか潔いといえば潔い。
 
その他にもいろいろな造形の女性が登場するが、皆さん承認欲求をいかに満たすかに苦労されている。困った毒親を抱えたり、浮気症の夫に悩まされたりもする。難儀やな~、と思うこと続出なのである。
 
どんな世界にも、こういう問題はあって、人はみな、自分が何者であるか、どうやって生きていくかに悩み続けていくしかないのだろうけれど。先の見えない、明るい未来の開けない「だってこうなんだもん」小説を読むと、どうにも疲れてしまう。もっとシンプルに、生まれてきたときに与えられたものをそのままありがたく受け取って受け入れて、その中で身の丈にあった幸せと喜びを見つけていくわけには行かないのだろうか。人間ってどこまでも欲深だなあ。

2016/3/4