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「わたしクリスマスツリー」佐野洋子 講談社
クリスマスツリーになる、と心に決めたもみの木は、根っこを引き抜いて、駅まで走る。でも、夜遅くて、駅長さんはもう寝てしまっていた。とぼとぼと帰ってきたもみの木を、森の仲間は暖かく迎えてくれる。
街じゃなくても、クリスマスツリーになれる。根をしっかりと張って、森のなかでも、クリスマスツリーになれる。クリスマスツリーになるために、もみの木はうまれてきたんだ。
うーむ、奥深い。奥深すぎて、これは大人の絵本である。わたしがわたしであることを、しみじみと充足させてくれる。願いのかなう美しい絵本だ。
2014/10/26