20世紀ラテンアメリカ短編選

2021年7月24日

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「20世紀ラテンアメリカ短編選」野谷文昭編訳 岩波文庫

私、ラテンアメリカと割と相性がいい。なんて、偉そうに言えるほどじゃないのよ。イサベル・アジェンデとバルガス=リョサとガルシア・マルケスとレイナルド・アレナスくらいしか知らないんだから。でも、その人たちはみんな、壮大な物語に私を引き込んで、圧倒した。というわけで、短編選をお試しに。上記に上げた作家は全員、載っていて、後は全然知らない人たちが大勢。

ラテンアメリカ文学は、他民族、他人種、植民地の記憶がどうしても大きなテーマになる。それは、日本人である私達には、ほぼ未知の分野だ。だから、手探りで、ほほー、へー、という発見と驚き、痛みと辛さを見出す読書体験となる。こんな言い方は不遜かもしれないが、それが実に新鮮である。

暴力的だったり、マッチョだったり、性的に奔放だったり、幻想的だったり、実に色々なテイストの短編が集められていて、新幹線の中で読むのには最適だったかもしれない。何しろ、一歩も動けない状況の中で、世界が目まぐるしく変わったからね。というわけで、旅本におすすめの一冊でありました。

2019/6/10