ア・ピース・オブ・警句

ア・ピース・オブ・警句

2021年7月24日

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「ア・ピース・オブ・警句」小田嶋隆 日経BP

 

2015年から2019年までネット上に書かれたコラムの中から27本が収録された本。五年って長いなあ。最初の方では、まだ舛添が都知事で、新国立競技場の費用の件で文科省と争っていたりする。まさかこんな状況になるとは誰も思っていなかった頃だ。でも、それ以降は、モリカケが始まり、公文書が忽然と消え失せ、桜を見る会が糾弾される。怒涛の展開だ。もうね、うんざりする。振り返っても、なんでこんな事態がまかり通るのか、なんでこれを誰もとめられないのか。そして、今に至ったんだよなあ、と遠い目になってしまう。
 
あまりにひどいことが続きすぎて、忘れるんだよね。共謀罪のこととか、忘れてたもんな。一般市民は関係ない、なんて言うけど、テロリストはみんな「私は一般市民です」って言うしね。ああ、もう・・・。そんなことは、あまたあるひどいことの一つに過ぎないので、だんだんどうでも良くなってしまうのかな。
 
約束は守らない、決めたことはなかったことにする、証拠となる文書は捨ててしまう、聞かれても答えない。人としてどうかという基本的な事項がどんどんむちゃくちゃになる五年間だったことが、よく分かる。なんで日本はこんな国になっちゃったんだろう。そして、そのことに恐怖を覚えない人が大勢いることが、恐怖だ。

2020/10/26