ウエストウイング

ウエストウイング

2021年7月24日

98

「ウエストウイング」津村記久子 朝日新聞社出版

最近お気に入りの津村記久子さんです。とあるビルの秘密の場所に現れる複数の人間をとっかえひっかえ描いている。そのキャラクターが多岐に渡っていて飽きない。と、言いたいところだけど、さすがに長すぎたかも。ちょっと詰め込み過ぎじゃないかなあ。大雨の話は「とにかくうちに帰ります」にかぶってたしね。

でも、秘密の部屋に現れる一人ひとりが結構好きになれたのは良かった。とりわけ、塾に通う男の子が好きだ。それから、向かい側のビルに現れる幽霊の謎も、意外な理由で笑ってしまった。こういうさりげないユーモアが抜群だよな、津村さんは。

こんなに風呂敷広げてどーするんだよ、って思ったら、あらら、そんな展開・・・と、最後のほうでちょっとはらはらした。もう少し整理して短くしても良かったんじゃないかなあ。とはいえ、面白うございました。津村さん、まだ残ってるのを読むのが楽しみ。

2013/10/21