オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

114 エリザベス・ストラウト 早川書房

「オリーヴ・キタリッジの生活」の続編。あれも素晴らしかったが、これはさらにすごい。と素直に思ったね。偏屈で怒りっぽい、でも、とても人間味あふれている元数学教師、オリーヴ・キタリッジ。彼女の70歳後半から80代の日々。いくつかの短編をかさねて、彼女の老後が描き出されている。

夫を二人、見送ったオリーヴ。ああ、想像しただけで寂しくて背中がすーすーしちゃう。でも、オリーヴは果敢に生きる。元教え子に話しかけ、時に助けられ、慰めたり慰められたり、馬鹿にしたり、自虐に陥ったり。

どんな家庭にも秘密があり、問題がある。苦悩もあるし、喜びも、愛もある。人はわがままだったり優しかったりする。そんな日々がどんなに大切か、いとおしいかをちゃんと描き出している。当たり前の毎日、失敗もあり、困難もあるけれど、海があり、風が吹き、食べて、寝て。普通の人々一人一人が生きるということの意味を、大切さを感じ取れる作品だ。

こうやって、私も齢を取るのだろうか。最後に一人ぼっちになっちゃうのだろうか。オリーヴみたいに、文句言ったり嘆いたりしながら、それでも果敢に生きていけるんだろうか。

そんなことを思いながら、読み終えた。良い作品だった。この本を、この作家を知ってよかった。教えてくれて、ありがとう。

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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