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「カソウスキの行方」津村記久子 講談社文庫
いいなあ、津村記久子は。主人公がいい。結構理不尽な状況に立たされても、やけになったりしないで淡々と受け止めつつ、だからといって諦めているわけではない。謙虚に前向き、といえばいいのかな。そして、あんまり普通じゃないやり方で自分を支えている、その支え方が分かる、共感する、というか私、似てるのかな、と思ったりもして、はたと気がついた。
つまり、読んでいて、主人公が好きになるってことだ。取り立てて素晴らしい人じゃないし正義の人でもない。何かを成し遂げるわけでもない。でも、静かにしみじみと好きになる。
結構辛いこともあるし、情けないこともあるけど、ちゃんと受け止めて、自分なりに前向きに生きてるのって、それだけでいいんだよね。みんなそうだもんね。がんばれ。と素直に思える。静かな勇気が湧いてくる。いい本だなあ。
それにしても、カソウスキって何かしら、ロシア人かしら、それともカワウソみたいな動物かしら、と思ったら、あら、そうだったのね。
2013/9/20