クラスメイツ

クラスメイツ

2021年7月24日

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「クラスメイツ」(前期・後期)森絵都 偕成社

 

グイグイ引っ張られて、あっという間に読めた。学校から帰ってきた娘に、これ面白いよと渡したら、そのまま座り込んで、一時間ほどで「前期」を読みきっていた。
 
「クラスの一人ひとりに焦点を当てて書いていくって、よくあるパターンだし、わかりやすいし、小4くらいで読めるんじゃない?」
と、娘。
「でも、小4だと小4に分かる範囲でしかわからないからなー。まあ、読めるだろうけど。」
と、私。
 
そうなんだよね。軽くてわかりやすくて、すいすい読めるけれど、読み手の経験値によって、受け取るものも変わってくるんじゃないかと思うような本だ。
 
中学生の頃に読んだら、まあ面白いけれど、結構キレイ事だよな~、と思ったかもしれない。この歳になると、そうじゃないんだ、これはこれでキレイ事じゃなくて真実なんだ、とわかってくる。
 
色んな子がいる。ワガママで、いつもみんなを困らせるやつ。天然で、訳のわかんないやつ。優等生で、非の打ち所がないけど、人間的じゃないやつ。オドオドしていてめんどくさいやつ。どんな人間だって、本人の中では、いろいろな理由があり、理屈があり、一つの筋が通っていたりするものだ。ワルは悪を心から楽しむわけではないし、いい子ちゃんは、いい子でいなければならない軛をもっている。そういう一人ひとりの事情が、この歳になるとつくづくわかっちゃう・・・この歳じゃなくても、かもしれないけど。
 
クラス24人の一人ひとりの事情をさらっと書き連ねることで、いろんな人がいる、いろんな事情がある、でもみんな頑張ってる、しっかり生きているってことがちゃんとわかる。いい話だ、と思う。うちの娘は、何を感じるのかな。

 

 

2014/9/12