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「ロンリネス」桐野夏生 光文社
「ハピネス」の続編。前作を、くっだらねー、ばっかみたい、と思いながら最後まで一気に読んでしまった様に、続編にも我慢できずに手を出す私。馬鹿だなあ。
前作は、タワーマンション内のどろどろしたママ友関係、マウンティング、身分の上下感などにあふれていた。今回は、それよりはもっと踏み込んだといえばいいのだろうか。何を持っているか、どこに住んでいるか、ではない、各自の人間性の部分での問題をえぐりだしている。とはいえ、前作で不倫関係になったカップルは、愛人も妻も妊娠しての泥沼だし、前回仲直りしたはずの夫婦も新たな泥沼にまともに入り込んでいって、今度こそ抜け出せない感じがある。恐ろしいと言うか、馬鹿げていると言うか、愚かというか。
この愚かさには既視感が・・・と思ったら、同じ作者の「猿の見る夢」にテイストが似ている。あれは男の愚かさ、これは女の愚かさに焦点があたっているだけで。
それにしても気になるのは、主人公にはまだ幼稚園児の一人娘がいるというのに、非常に自由に時間を使っている点である。夜、お風呂に入れた後に「ちょっと〇〇ママとお茶してきていい？」「いいよ、でもちゃんと帰ってきてよ」なんて会話、幼稚園児と本当に成り立つと思ってるんだろうか。不倫相手とひょっこり出会うのは、いつも娘が友達の家に遊びに行っている時だし。そんなうまくいくわけないだろおおおお！！子供が生まれてから小学校に入れるまでは、たとえ一人っ子であろうと、保育園に預けていようと、母親は我が子に振り回されて、そんなに自由な時間が使えない。優雅に不倫にふける余裕なんてないと思うんだが。そういう人もいる、ということなんだろうけど、小説だし。リアリティないよなあ、と思ってしまう私であった。
2019/1/20