コラムニストになりたかった

コラムニストになりたかった

2021年7月24日

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「コラムニストになりたかった」中野翠 新潮社

「いくつになっても」の中野翠。サンデー毎日に連載されているコラムをオンタイムで読むことは全くないのだけれど、一年分をまとめた単行本は必ず読む。十数年、ずっと読んできた。そんなコラムニスト。

この本は、その中野翠が、どんなふうにコラムニストになったのかを書いた、いわば自叙伝のような一冊だ。毎週書かれたコラムをずーっと読んできたから、基本的な出来事は殆ど知っていることだったのだけれど、それでも楽しかった。通っていた大学も、新聞社でアルバイトをしていたり、御茶ノ水駅前、山の上ホテル周辺で働いていたなんてことも私自身と重なっていて、気持ちがわかるし、親近感も湧く。といっても、この人、私よりかなりのお姉さんなのだが。彼女の働いていた主婦の友社ビルに、私もしょっちゅう出入りしていたものだ。あの、重厚なビル。一階はファッションや雑貨を売っていたっけ。懐かしい。

恋愛や結婚に全然興味がわかないと書いてあったけれど、長い人生の中に色っぽい話が一つも出てこないのね。まあ、あっても書く気にならんのは、わからんでもないが。

この人は、いつもちゃんと自分で有り続ける芯の強さがあって、人にどう思われるとか、どう評価されるとかをあまり気にしない。それを意識的にやっているのではなく、自然に、当たり前に生きているとそうなっちゃう、というのがよく分かる。そこがいいんだなあ。そこが、林真理子とぜんぜん違うところなんだなあ、とつくづく思う。

アグネス論争に関しては、ちょっと言いたいこともあるが、基本的には、私、この人を信用しているし、これからもずっと読み続けたい。

2021/3/13