サカナとヤクザ

2021年7月24日

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サカナとヤクザ 暴力団の資金源「密漁ビジネス」を追う」鈴木智彦 小学館

 

密漁とはルール違反の漁業のことだ。海水浴客が磯の貝を勝手に獲っても、漁師が許可を受けない魚種を獲っても、規定サイズ以下の稚魚などを獲っても、密漁である。そして、それは現実には、暴力団が深く関与しているビジネスである。
 
三陸のアワビは、津波が街を破壊した際に、暴力団によって根こそぎ奪取されたという。北海道の有名な朝市は、実は泥棒市となっている。うなぎの稚魚は、三分の二が密漁によるものだし、アワビやカニも、実は我々の口に入る大多数は密漁品である。
 
作者は平成25年からまる五年取材を続けてこの本を書いた。ここに書かれたことは、実はほとんど周知の事実でありながら、詳細が報道されたことはないものであったという。想像を遥かに超えて、高級海産物は暴力団の資金源となっている。大抵の場合、誰もが、一度は密漁品を口にしている。それが明らかにされたことに、驚愕した私である。
 
 

2019/5/7