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「サブカルで喰う就職せず好きなことだけやって生きていく方法」
大槻ケンヂ 白夜書房
オーケンは結構好きで(と言っても音楽は殆ど聞いたことがないんだが、)何冊も読んでいる。卒業した中学の後輩でもあるしね。で、この本は実用書の風を装っているけれど、こんな本を読んだって、実はサブカルで食っていけるようになんてならないよ、と先に言ってしまおう。言ってしまえば、これは、オーケンがこれまでどうやってこの業界を生きてきたか、その軌跡が描かれているだけで、同じことをやろうとしたってできっこないし、やったって食っていけないのは当たり前だ。
何のとりえもないけれど、自己顕示欲だけがある人間が、たまたま風変わりなロックバンドを組んで運よくヒットし、そこから風変わりなタレントになったり、小説を書いてみたら売れてしまったり、SFを書いたら星雲賞までもらったり、それでコメンテイターみたいなこともやったし、バンドも解散してまた結成して、ラジオやったり、クイズ番組に出てみたり、いろんなことをやってここまできましたってことです、この本は。とはいえ、オーケンって才能あると私は思うけどね。
結構、なんだかんだで売れてたみたいだけどな、オーケン。儲かっては個人事務所を立ち上げて、税務対策に失敗して、結局、潰してしまったこと三回って。学習しろよ、と言いたくなる。ポルシェも買ったけど、もう売っちゃって、普通にバス乗ってます、って庶民的でいいけどさ。
表現すべき内容はそれほどもっていないけれど、表現欲だけはある人間に向けて、このホンは書かれているらしい。それって実はとっても現代的な普遍的な内容だと思う。だってさ。あらゆる芸術の手法は既に出尽くしてしまっているのかもしれないじゃないの。もはや中身の無い我々は、どうやってこの表現欲を実現していけばいいのだろうね。
2013/9/25