石ころだって役に立つ

石ころだって役に立つ

2021年7月24日

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「石ころだって役に立つ 本と物語に関する記憶の物語」

関川夏央 集英社

夫が図書館から借りてきた本。どうだった?と尋ねたら、須賀敦子に関するエッセイが面白かった、と。読んでみたら確かに面白かったので、その流れで最初から全部読んだ。

夫は須賀敦子のファンだ。それで、誕生日に全集をプレゼントしたことがある。完読はまだしていないらしい、あれは、老後の楽しみになるのかな。

それはともかく、この本は本や物語に関わるエッセイ集だ。題名はフェリーニの映画のセリフだ。「道」の中、ベイスハートがジェルソミーナに語った言葉だ。私は、「道」が好き。なんどでも見返したくなる映画だ。

この本の中で、関川氏は「もう五十だ」と嘆いている。でも、この本が出たのはもう十年前だものね。関川さん、もう六十じゃん。時間って、あっという間に経つよね。

関川氏が「ソウルの練習問題」を出した頃を覚えている。ちょっとすねた感じの、このまま物書きをこの人はやっていけるのかしら、と心配になるような若手作家だったのに。六十かあ・・・。と、おばさんになった私は溜息をつくのだった。

2013/12/13