ファッションフード、あります。

ファッションフード、あります。

2021年7月24日

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「ファッションフード、あります。はやりの食べ物クロニクル1970-2010

畑中三応子 紀伊國屋書店

 

ティラミスがいきなり流行りだした頃のことを覚えている。それまで聞いたこともなかったティラミスという単語が、いきなりテレビや雑誌に溢れだした。「ティラミス始めました」なんて、冷やし中華みたいな張り紙が貼ってある喫茶店すらあった。それから、次のはやりはナタデココだ、とかカヌレというお菓子だとか言われていたのも覚えている。やたら記憶に残っているのは、当時、私は長男を妊娠中でつわりが酷くて動けず、家で延々とテレビを見たり雑誌を眺めていたからかもしれない。
 
ティラミスは記憶に新しいが、そういえば、ハンバーガーだって、ドーナツだってアイスクリームだって、それぞれにブームがあった。誰もがモツ鍋を食べたがる時期もあったし、ベルギーワッフルがあふれている時もあった。わが家ではついぞ見かけなかったが、紅茶キノコなんてものが日本中の家庭で栽培(?)されていたこともあったらしい。
 
この本は、そんな食べ物のはやりの歴史を追った本だ。作者は私よりちょっとだけ歳上なので、ちょうど同じような時代を過ごしてきた。だから、ここに書いてあることは、だいたい全てが懐かしく、自分の過去を振り返りながら読むことができて楽しかった。食べ物の記憶から付随して、個人的なエピソードが記憶の底からあれこれ立ち上がってくるのに驚いてしまった。

2014/5/23