ポーカー・フェース

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2021年7月24日

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「ポーカー・フェース」 沢木耕太郎 新潮社

沢木耕太郎というと、どこかハードボイルドなイメージがあった。ストイックというか、孤高の人というか。

この本は、どっちかって言うと、彼の軟派な部分が現れている本である。と書くと怒られるかな。女優さんとか、有名作詞家とかとの交流や、見知らぬ大阪のスナックの女性と思いがけない理由で対面した話、酒場での交流など、らしからぬ話題が多いので、つい、そう思ったのだ。背は高いし、イケメンだし、おまけに書くものも素晴らしくかっこいいのに、あんまり俗っぽい話を書かないもんだから、勝手にイメージを作っちゃってただけなんだけど。

眉間に第三の目が開いた夢を見て、ついに自分も悟りを開いたか、と思ったら、なんのことはない、少し前に見た映画のワンシーンであった、というエピソードには笑った。私もそういう夢をしょっちゅう観るからだ。とりわけ、映画やドラマなど映像を伴った経験が、形を変えて夢に出てくることが、殊の外多い。そして、それにぜんぜん違う意味合いをつい付けたくなっちゃうのも、同じである。

ところで、「稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?」という本によると、

財布の購入価格×200=年収

なんだそうだ。長年、財布を持つ習慣がなく、ズボンの後ろポケットに、当面使えそうなお金をそのまま突っ込んで外出する沢木氏は、財布を持ったことがなく、つまり、無収入ということになる、と書いてあった。(私は安物の財布を長期間にわたって使用する人間である。まあ、確かに、年収も微々たるものだからな・・・。)

そんな沢木氏がバカラにハマっている、というのもちょっとした驚きであった。全てが自己責任である、という部分にこの博打の面白さがあるんだそうであるが。

男って、基本的に、博打打ちなんだろうか。と、ちょっと考えこんでしまったのであった。

2012/5/13