ミレニアム2

ミレニアム2

2021年7月24日

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「ミレニアム2 火と戯れる女 上下」

スティーグ・ラーソン 早川書房

 

ふう。やっと読了。時間がかかったのは、ちょっと読んでは休み、またちょっと読んでは休んでいたからだ。なぜかというと、痛くて、辛くて、怖いから。
 
「ミレニアム1」のブログについて、夫に、本の内容が全然わからない、と指摘された。あれを読んで、この本を読んでみようとは全然思えないね、と。そうです、そのとおり。なぜそうなったかと言うと、ミステリの紹介って、内容を明かしちゃうとネタバレになるから、ってこともある。でも、それ以上に、詳しく書くのが辛かった、ということもある。
 
ミレニアムシリーズ全編を貫いているのは、女性や子供など弱い存在を痛めつけ、思うがままに支配しようとする存在への断罪、告発である。なのだけれど、それを伝えるためには、ひどい目にあっている女性や子供の姿を描き出さねばならないということになる。よりひどい目にあっている状況を見せることで、よりその酷さが伝わる。たしかにそうなんだけど、そして物語として、最終的に悪は断罪されるのだけれど、その過程が、私にはつらすぎる。つらすぎるが、しかし、それを超えてあまりあるリーダビリティもあるため、うぐうぐ言いながら、悶え苦しみながら、読んでしまうのである。読みながら、「うわ!」とか思わず声を出してしまう私に、「だからサワキには向いてないよって言ったよね?」と夫は呆れるのである。
 
先に書いておく。1巻は、カッレくんことジャーナリストのミカエルが、仕事上の大失敗で裁判に負けてどん底に落ちている時に、思わぬ昔の失踪事件の調査を依頼され、その過程でピッピがモデルのリスベットと出会い、彼女の天才的な頭脳に助けられ、最後は命まで救われて事件を解決し、汚名も挽回するという物語である。
 
で、この二巻であるが、一巻でリスベットが、自分を陵辱した弁護士にとある復讐を行うのだが、その弁護士が、リスベットの殺害を企むところから始まる。それが、なんと国家を巻き込む大騒動へと発展するのである。そこには、リスベットの生い立ちが関わっていた・・・。
 
2巻が一番つらかったかもしれない。だって、リスベットがどんどん追い詰められていくのだもの。最後近くで、私は、あんまりだ!!と思ったね。なんでこんなにひどい目に合わせるの、作者ならわかってるんだから、もっとリスベットを安全な場所に置きなさいよ、こんな事態は回避しなさいよ!!と訳のわからない怒りを抱いてしまったくらいだ。この孤独な女の子を、どうして幸せにしてあげないの!と。感情移入も甚だしい。まあ、それくらい、入れ込める話なのではあります。
 
でね。ここが肝心なところなのだけれど、この二巻を読む人は、ぜひ、三巻を手に入れてからにしたほうが良い。じゃないと、呼吸困難に陥りそう。

2020/4/30