モヤシ

モヤシ

2021年7月24日

「モヤシ」 椎名誠 講談社

おちびの好物は、モヤシです。一緒に買い物にいくと、「お母さん、お願いがあるの。あのね、モヤシ、買ってもいい?」と聞かれるのです。48円くらい。チョコレートでも、アイスクリームでもなく、モヤシかよ・・って思いながら、もったいぶって買ってやります。なんでこんなもん、好きなんだ?

この本は、図書館の「今日返ってきた本」コーナーで眼があっちゃいました。2003年だから、最近・・と思ったら、もう昔の本なのねー。この間のことみたいに思うけど。

棚においておいたら、私より先に夫が持ってって読んじゃいましたが、「最後のページで、前に読んだことがあるって思い出した。」と苦笑して返してくれました。「サワキも、読んだことがあるかもよ。」と。
いやあ、覚えはないなあ、と言いながら読み始めて、真ん中くらいで、「あ!読んだことあるかも」と言ったら「それでも、最後まで読むんだ!!」と命令されちゃいました。ふん!

読み返し・・らしいんですが、あんまり覚えが無いまんまなんで、割に新鮮に読めた・・ってか、それでいいのかよ、といろんなところに突っ込みが入れたいです。私自身にも、この本にも。

尿酸値が上がって、プリン体を警戒しなければならないシーナが、これなら大丈夫だろう、と食べ始めたのが、モヤシであり、もずくであり。どっちも我が家も好きでよく食べるけどさ。利尻島で、ぴちぴちのうにを目の前にしながら、もずくとモヤシってどうよ、と私は思うがね。旅行しながら、大切にモヤシの栽培キットを連れて歩き、こんなに大きくなったぞ、と、帰宅後、妻に威張ったのに、あんまり相手にされない悲しい中年男。だって、妻は、もっと大々的に家で数種のモヤシを育て上げてたんですもんね。なんかおかしい。

それにしても、シーナって割に繊細な人なんです。尿酸値が上がって、痛風予備軍、と言われただけで、震え上がって、食生活を改善する。立派なことですが、豪快ではないな。

全然関係ないかもしれないけど、私の母が、人間ドック前、二週間ほど、体調が妙に悪かったという話を聞きました。食欲がなくなり、全身に蕁麻疹が出て、大変だったそうです。で、人間ドックが終わったら、すっかり良くなったって。

検査結果を心配するのもあるし、検査前日は何時から水飲んじゃダメとか、食べ物はこれは避けろとか、この薬は飲んじゃダメとか、初尿を取れとか、胃カメラは口からか鼻からかどっちにするかとか、そんな注意事項を読んだだけで、もう、すっかり緊張と不安にやられてしまって、ストレスがひどかった・・らしい。
まあ、昔から、そういう人ではあったのだけど。きちんとしなければならない、うまくやらねばならない、と自分で自分を追い詰めちゃうのよね。
痛風を恐れるシーナを読んでいて、母のそのエピソードに重なってしまったのでした。

年を取るごとに、母の緊張癖はひどくなるみたいです。私も、ちょっと気にしいのところがあるし、あんなになっていくのかなあ、と言ったら、まあ、サワキは酒飲むしね、アルコールって、そういう緊張をほぐしてくれる効果は確かにあるんだと思うよ、と夫に言われました。

そうか。
酒、飲もう。

2010/7/23