モンゴルのおすそわけ

モンゴルのおすそわけ

2021年7月24日

そろそろ旅へ モンゴルのおすそわけ岸本葉子 東京書籍 7

嵐山へ花見に行った。行くまでの電車の中で、シーナの本を読んでいたら読みきってしまって、仕方ないので、夫が二冊抱えていたから、一冊借りて読んだのが、この本。

岸本さんは、相変わらずお美しい。旅慣れているし、結構ディープな場所にも行く人なのに、いつだって、女性的な優雅さも持ち合わせている。そういう点が、他の女性バックパッカーと違うなー、と感心してしまう。
これは、この人の持ち味なのだろう。らくだにうっかり乗らされてしまって、怖くて、下ろしてくれーと叫んでいるのに、相手には聞こえない。恐怖でひきつっているのも、笑顔と間違えているらしく、ニコニコされてしまう、と書いてあるが、その写真を見ると、本当に、笑顔で喜んでいるふうにしか見えないのだ。こういうのって、得なのか、損なのか・・・。

ガイドをしてくれた元外務省役人のエリートっぽい人は、ゲルなんて泊まりたくない、というそうだ。モンゴルの魂みたいな住居なのに・・・。と思っても、なるほど、昼は暑いし、夜は冷えるし、いろいろ大変ではあるのね。それでも、壮大な草原には憧れる。

モンゴルは少数の桁外れの富裕層と、半数を占める貧困層に分かれてしまっているそうだ。中国も、似たようなものなのかな・・・。
相撲人気の凄さが書かれていたが、朝青龍の引退前に書かれた本だからなあ。それ以後、どうなったのだろうか。

がんを患った岸本さんは、それ以後、もし体調を崩したら、再発したら、と消極的になっていらしたそうだ。それでも、モンゴルに行く話が持ち上がったときは純粋に、行きたいと思ったそうだ。そして、行ってみて、こんなことも自分にはできる、と嬉しかったという。

いろいろな場所に人は生き、いろいろな風景があって、時間が流れている。新しい場所、美しい場所、珍しい場所に行くと、心が動いて、自分がほんのすこしずつでも変わっていくような気がする。あるいは、自分の中の新しいものに気がつけるような気がする。

この本を読みながら、嵐山についた。嵐山の桜は、溢れるように輝いて美しく、水はさらさらと流れていた。
東北で、関西で、モンゴルで。
いろいろな場所で、同じ時間を、様々な思いを持って、人は生きている。
みなが、少しでも幸せになれますように、生きていてよかったと感じられますように、と、美しい風景を見ながら、願っていた。

2011/4/8