人間の土地

2021年7月24日

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「人間の土地」サン・テグジュペリ 新潮文庫

 

積ん読撃破キャンペーンの一環である。いつ買ったかももう覚えていないほどだ。
 
サン・テグジュペリは、言わずと知れた「星の王子さま」と「夜間飛行」を読んでいたが、これは初めて。なんで今まで読まなかったかなあ。
 
堀口大学の翻訳は、美しい日本語である。うっとりとしてしまう。原文もこんな風に静かに美しい文章なんだろうか。フランス語ができたらわかるんだろうか。
 
私は高所恐怖症なので、空に魅せられた人の気持ちは完全には分からない。が、まだ飛行機が作られ始めたばかり、空がまだごく一部の勇気ある飛行士だけのものだった時代、はるか上空から見る地面は、どんなにか特別のものだっただろうと思わずにはいられない。
 
外出先でこの本を読んでいて、砂漠に不時着してしまった。三日三晩、一滴も水を飲まずに砂漠をさまよったので喉がからからになり、昼間っから生ビール飲んじゃった私である。何やってんだか。
 
解説を、宮﨑駿が担当している。「人類のやることは凶暴すぎる。」から始まるこの一文もまた、美しく胸を打つものであった。

2016/10/24