男は邪魔!

男は邪魔!

2021年7月24日

148

『男は邪魔! 性差をめぐる探求』高橋秀実 光文社新書

XANTHさんから紹介してもらった本。XANTHさん、ありがとうございました。

男は邪魔で馬鹿でゴミなのである、というのがこの本の主旨である。ちなみに、著者は名前で誤解されることが多いが、実は男であり、これからも男でありつづけるだろう、と最初に書いてある。

確かにな~。と、読んでいて思う。
幸いにして、私は我が家の男たちを馬鹿だとも邪魔だとも思ったことはあんまりないが、それにしてもこの本に例示されている内容には、なんとなく頷くものが多い。とりわけ、男児へのインタビューに対する返答には笑ってしまう。

どんなお手伝いを普段はするの?という質問に対し、女子は具体的かつ明確に、何をどのようにするかをハキハキとするのだが、男児は、「うーんと、いっぱいする。」とは答えるものの、具体的に尋ねられると「えっと、たとえば、たとえばね・・・ありすぎてわかんない、忘れた」になってしまう。あるよなー、小学生男子。自分ではいっぱいやっているつもりなのに、具体的に聞かれると何も答えられない。わはは。

そういえば、そのむかし、息子が中3の終わりに友達がわやわやと我が家を訪ねてきてみんなでゲームをやっているのを眺めていたことがある。わあわあ騒いで笑い転げて、どえりゃあ楽しそうなのだが、話している内容と言ったら、小3男子と全く変わらないのだ。こいつら、いくつだよ、と一緒に笑いながら思ったものだ。

女子はある程度大きくなると、「何して遊ぶ?」が必要なくなる。世間話やうわさ話など、おしゃべりをするだけで、時間は延々と潰せるし、それがまさに交流の目的であったりするのだ。ところが男子は、いつまでたっても、「何する?」が重要なままだ。ゲームとか、缶けりとか、サッカーとか。何か道具を介して彼らは交流する。違うよなー、そういうところ。

アマゾンのレビューを見たら、この本の内容について激怒している男性読者が意外に多いので笑ってしまった。小学生男子へのインタビューがひどい、と嘆いている人もいる。いや、あれ、事実ですから、と思わず突っ込みたくなる。男性陣からしたら、こんなふうに否定(?)されるのはいたたまれないことなのかなあ。女性たちは、長い長い歴史の中で、馬鹿だとか役に立たないとか、常に従う身であれとか、感情的で物が考えられないとか、ずーっと言われ続けてきたから、あれくらいで腹をたてることはないと思っちゃうんだけどなあ。

何にせよ、男性側からこんな本が書かれたことにある種の意義はあるね、と思う。ただ、高橋秀実さんの奥様はきっぱりとしたオトコマエ(この言葉自体に疑義があるが)の人なので、みんながみんな、女性がこんなだと思われたら困るし、結局この本全体が壮大な夫婦間のノロケなんじゃないかという若干の疑いもあるにはあるが。

2014/1/18