伊集院光の今週末この映画を借りて観よう

伊集院光の今週末この映画を借りて観よう

2021年7月24日

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「伊集院光の今週末この映画を借りて観よう」伊集院光 宝島社

今年一番感動した映画「人生フルーツ」を教えてもらったのが伊集院のラジオだった。実際にはゲストの樹木希林が教えてくれたのだが。それでも伊集院はゲストがこの映画の話をすると聞いて事前にちゃんと最後まで見ていた。そして、とてもいい映画なのでぜひ、と自分なりの言葉で勧めていた。そこに彼の誠実を見たし、結果、本当に見てよかったと思えるものだったので、映画に関して伊集院の信用度は高い。

その伊集院が、一回目はゲストにネタバレがないようにおすすめの映画をプレゼンしてもらい、その後、ゲストや伊集院やアシスタントもそれぞれにその映画を見て、二回目にはネタバレOKの状態で思い切りその映画を語るというラジオ番組をやっている。この本はその記録である。もともと伊集院はテレビ局の楽屋で爆笑問題の太田光が勧める映画をみるのが好きなんだそうだ。本来なら自分では見ないような映画を勧められて見たらめちゃめちゃ面白い、という経験を何度かして、それがこの番組の企画に繋がったという。

というわけで、もちろん最初のゲストは太田光だが、以後、宮藤官九郎、石野卓球、三村マサカズ、山本晋也、玉袋筋太郎、崔洋一、戸田奈津子と続く。この人らしいな、という選択もあれば、え?これ?というものもある。誰もが自分の好きな映画だから熱く語っていて、読むだけでも面白い。

本来なら「みるまえに編」を読んだらツタヤに直行して映画を見て、それから「みたあとで編」を読むのがこの本のお約束だ。だって、過激なネタバレもしちゃうからね。でも、ついついそのまま読んでしまった。そしたら面白いんだ。本当に映画をよく見る人なら、やっぱり先に見てから読んだほうがいいんだろうけど、「みたあとで編」を読んだからこそ見たくなった映画もある。戸田奈津子の「情婦」とかね。あと、誰もが知っているはずの「ダイ・ハード」を三村マサカズが熱く語るのもなかなか良かった。ベタを恐れず強く進める彼の姿勢がすごくかっこよかった。

私はもともと映像派じゃないし、年に数回も映画を見ない。たまに見るからこそ、いいものを見たいと思う。この本はまだ続編があるので、そっちも読んで、それからゆっくりツタヤに行こうかな。

2017/4/19