ポースケ

ポースケ

2021年7月24日

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「ポースケ」津村記久子 中央公論社

 

題名から、ちょっとボーっとしている主人公の話かと思ったら、全然そうじゃなくて。「ポースケ」ってのは、ノルウエイのお祭りのことなんだそうだ。
 
ヨシカさんのやっているお店に集まる人たち、ひとりひとりの姿が丁寧に描かれている。最後はお店でポースケ(お祭り)だ。
 
みんなそれぞれに大変なことがあったり、困っていたりもするけれど、一生懸命、生きている。ちゃんとひとのことも思いやって、足りないこともあるけれど、誠実に日々を過ごしている。ただそれだけのことなんだけど、読んでいて、じんわりと気持ちがほぐれて暖かくなってくる。
 
津村記久子はいいなあ。なんでもない、大きな事件なんて全然ない物語だけれど、胸にしみるようだ。これ、大好きだ、と思った。

2014/10/28