偉大なる、しゅららぼん

2021年7月24日

34
「偉大なる、しゅららぼん」  万城目学 集英社

万城目学さんは、おもしろいなあ。
京都(「鴨川ホルモー」)、奈良(「鹿男あをによし」)、大阪(プリンセストヨトミ」)に次いで、今度は滋賀県は琵琶湖が舞台です。
どっぷり関西だわ。

湖西に住む主人公日出涼介が、高校入学に当って、石走の本家のお城に住むことになった。というのも、彼には湖に由来する不思議な力があるのだ。だから、本家で修行せねばならない。

琵琶湖の力を借りる湖の民、日出家とそれに敵対する棗家の争い・・かと思ったら、そこにお殿様の末裔まで出てきて、くんずほぐれつ。

あれこれと思い悩む涼介くんは、魅力的な主人公です。同じ城に住む従兄弟の淡十郎くんも、おっとりとしながら、許さないところはきっちりと許さない、それでいてやたらと純情な、なかなか素敵なキャラを見せてくれます。
人の心が読めちゃうんでひきこもりになったグレート清子も、マイペースでかっこいい。

ふしぎな出来事と、当たり前の日常が交差し、その中でごく普通に高校生がごく普通に葛藤し、成長もしていく、いつもどおりの万城目ワールドが展開していきます。

これから読む人のために、あんまり詳しく書かないけれど、これを読んで、夫は「広げた風呂敷を畳みきれなかった」と言いました。
だけど、私は、これは伏線を張っているのであって、続編を書く気満々なんじゃないかなあ、と思ったのであります。
いや、これはこれで完結してるぞ、という夫。
続編の読みたい私。
さて、真相はどうなんでしょうか。

万城目さーん、続き、書いて!!

2011/5/15